要点
- 入職1ヶ月の1年目獣医師が、仕事中に 業務外のちょっとした相談 を持ってきた話
- 「今は仕事してるから、行けるタイミングで一緒に行ってあげるよ。そうじゃないんだったら、一緒に来なくてもいいよ」と落とし込んで伝えました
- こういう 業務中に声をかけられる場面 は、しょっちゅうあります。最初はイラついていたけれど、もう慣れました
- 「そういうレベルの話を私に話しかけるな」と シャットダウン してしまうと、組織のレベルがすごく下がってきます
- 昔のレッド組織なら「ふざけんなよ、社会人になっただろ」で済ませた話。今はそうじゃない。きちんと対応する ことが必要だと感じています
1. 1年目、まだ1ヶ月の獣医師
ある日のこと。入職してまだ1ヶ月という、1年目の獣医師(女性)が、仕事中の私のところにふらっと来て、業務外のちょっとした相談 を持ってきました。
私はそのとき、別の仕事の真っ最中でした。
ここで取れる対応は、大きく2つあります。
ひとつは、「今、仕事中だぞ。ふざけんなよ」と切り捨てる。
もうひとつは、それを受け止めて、本人に 境界線を学んでもらう機会 にする。
私は後者を選びました。
2. 「今は仕事してるから、行けるタイミングでね」
私の口から出たのは、こういう言葉でした。
「今は仕事してるから、行けるタイミングが来たら一緒に行ってあげるよ。そうじゃないんだったら、一緒に来なくてもいいよ」
これはつまり、「これは私が仕事を中断してまでやることじゃないよね」 ということを、本人にも伝えていく言い方です。
「俺がこの仕事を辞めて、それに行くレベルじゃないでしょ?」
そうやって落とし込んでいきます。
彼女から「じゃあ、何時だったらいいんですか?」という返しが来て、そこから少しだけ会話が続きました。雑談しないといけない場面はあるけれど、今は仕事してるんだから — そういうところまで、ちゃんと言葉で説明したつもりです。
3. 業務中に声をかけられる場面は、しょっちゅう
私が別の仕事をしているところに、こういう雑談やちょっとした相談が入ってくる場面は、しょっちゅうあります。本当に、しょっちゅう。
最初の頃は、正直、イラついていました。「集中させてくれよ」と。
でも、しょうがないなと。慣れました。イラつかなくなった。そのうち眠くなって寝ちゃうこともあります。それはそれで休息になるので、悪くないと思っています。
4. シャットダウンすると、組織のレベルが下がる
ここからが本題です。
「集中させてくれよ」が積もって、こう言いたくなる瞬間が来ます。
「そういうレベルの話は、私に話しかけるな」
これをやってしまうと、組織のレベルが、すごく下がってきます。
なぜなら、若いスタッフは、その瞬間に「院長には話しかけないのが正解だ」と学習するからです。
最初は「業務外の話」でシャットダウンされる。次に「業務関連の小さな相談」でも、なんとなく話しかけにくくなる。さらに次は「ちょっと困ったことがあっても、自分で抱え込もう」となる。
こうなった瞬間、組織はレッド組織側に戻っていきます。シャットダウンは、組織のレベルを確実に下げます。
5. 「ふざけんなよ」では済まない時代
昔だったら、「ふざけんなよ、社会人になっただろ」で済ませた話だと思います。
「そんなおかしな話、今じゃなくていいだろ」
これは、かつての レッド組織的な対応 です。号令と恐れで組織を回していた時代の感覚。
でも、今はそうじゃない。
その1年目の獣医師には、悪気はまったくありません。本人なりに、私に相談しに来た。それを切り捨ててしまうと、彼女が「次は何が話しかけてOKで、何がNGか」を判断できなくなります。
だから、面倒でも、その瞬間に 言葉できちんと伝える。
「今は仕事してるから」「これは私が手を止めるレベルじゃない」「行けるタイミングが来たら一緒にね」
これを その場でちゃんと言葉にする ことで、本人は「あ、そういうことね」と学んでいきます。次からは、本当に相談すべきタイミングを選んで持ってくるようになる。
6. 声をかけられたら、対応する
現場には、声をかけてくる人が必ずいます。1年目の獣医師、看護師、患者さん、急変、電話。
その全部に対して「邪魔するな」とは言えません。言ってしまった瞬間、組織は痩せていく。
声をかけられたら、対応する。対応しながら、それを 教育の機会 に変える。
これを繰り返していくことが、ティール組織に近づくための 日々の実務 なのだと、最近は思うようになりました。
まとめ
- 入職1ヶ月の1年目獣医師が、業務中に業務外の相談を持ってきました
- 「今は仕事してるから、行けるタイミングでね。そうじゃないなら来なくていい」と 言葉で伝えました
- こういう 業務中に声をかけられる場面 は、しょっちゅうあります。慣れました
- シャットダウンしてしまうと、組織のレベルが下がります
- 昔のレッド組織なら「ふざけんなよ」で済ませた話を、今はきちんと対応する 必要があります
FAQ
Q. 全部の雑談に対応していたら、こちらの仕事が進まないのでは?
A. その通りです。だからこそ、その場で境界線を言葉にして渡す ことが大事だと思っています。「今は手を止めるレベルじゃない」と、本人に分かる形で伝える。これは1回の会話で終わる投資です。
Q. それでも繰り返す若手にはどうしますか?
A. 繰り返すこと自体が学習過程だと捉えています。1回で完全に身につく方が珍しい。叱責でなく、毎回フラットに境界線を再提示する ようにしています。
Q. 院長が忙しすぎて対応できないときは?
A. 「あとで聞くから、メモしておいて」「明日朝の10分でいい?」というように、時間をずらす形 で受け止めるようにしています。シャットダウンはしない、というのが基本姿勢です。
