要点
- 面接に来るのは、まだ21歳・22歳という若い子たちです
- そういう子には、成人発達 の話をすることがあります
- 「僕もまだ発達中だし、あなたはまだまだ全然発達する」 — これが、私の本音です
- 短い間でも、人はぐっと成長する可能性がある。だから、今の一点だけで判断したくない
- 一方で、発達のスピードは人によって違う。すぐには変わらない部分もあります
- だからこそ、それぞれの 得意なところで力を発揮してもらう 配置が大事だと思っています
1. まだ21歳、22歳の子たち
うちの面接に来るのは、多くがまだ21歳、22歳という若い子たちです。
社会に出る、その入口に立っている年齢。当然、できないことも、足りないところもたくさんあります。
ここで「今、できていないこと」をそのまま評価にしてしまうと、ほとんどの子が「まだ未熟」で終わってしまう。でも、私はそういう見方をしたくないのです。
なぜなら、人は、ここからまだまだ発達していくからです。
2. 成人発達という考え方
そういう若い子に、私は 成人発達 の話をすることがあります。
発達論という考え方があって、人は大人になってからも、ずっと発達し続ける という前提に立つものです。子どもの頃に成長が終わるのではなく、20代も、30代も、その先も、人は発達していく。
この前提に立つと、面接で見える「今の姿」は、その人の固定された能力ではなく、発達の途中経過 だということになります。
21歳、22歳なら、なおさらです。これからぐっと伸びる余白が、たっぷり残っている。
3. 「僕もまだ発達中だし、あなたもまだまだ発達する」
このとき、私が必ず添える言葉があります。
「僕もまだ発達中だし、あなたはまだまだ全然発達すると思う」
これは、相手を持ち上げるための社交辞令ではありません。私の本音です。
院長である私自身も、まだ発達の途中にいる。だから、目の前の若い子に「お前はまだ未熟だ」と上から言う資格は、本当はないのです。私も発達中、あなたも発達中。立っている場所が少し違うだけ。
短い間でも、人はぐっと発達して、成長する可能性がある。
だから、今のこの一点だけを見て「この子はダメだ」と決めつけたくない。次の面談までの間に、本人が意識して取り組めば、そこでまた伸びていく。そういう目で見るようにしています。
4. ただし、発達のスピードは人それぞれ
とはいえ、これは「誰でもすぐ変わる」という話ではありません。
特性に関わる部分は、そうそう簡単には変わらない。変わるとしても、数年という単位がかかることもあります。ここは正直に見ておかないといけないところです。
うちには、長く勤めているスタッフもいます。その中には、関係性づくりやリーダーシップが、なかなか得意になりきれない人もいます。
でも、その人は、言われたことはきちんとやれる。
5. だから、得意なところで力を発揮してもらう
そういうスタッフには、その人が力を発揮できる仕事をお願いします。
長く経験を積んできた人だからこそ、肌感覚で分かること、任せれば安心して回ることがあります。これは、その人だからこそできる仕事です。
一見、とっつきにくく見えることもあるかもしれません。でも、悪気があってそうしているわけではない。それは、何ヶ月か一緒に働くうちに、みんなが分かってくる。
うちは、シニアも含めて比較的フラットな組織です。だから、一人ひとりの発達のスピードが違っても、それぞれが得意なところで居場所を持てる。「いつまでに、こうなれ」と一律に急かすのではなく、その人の発達を待ちながら、力を発揮できる場所を用意する。
これができるのは、ある程度の人数がいる組織の強みかもしれません。そして、こういう向き合い方ができるのは、組織がティール組織を目指している からこそだと思っています。発達を信じて待つ、というのは、それなりに余白のある組織でないと、なかなか難しいものです。
まとめ
- 面接に来るのは、まだ21歳・22歳の子が多い
- そういう子には 成人発達 の話をします
- 「僕もまだ発達中だし、あなたもまだまだ発達する」 — これは本音です
- 今の一点ではなく、発達の途中経過 として見るようにしています
- ただし発達のスピードは人それぞれ。すぐには変わらない部分もある
- だからこそ、得意なところで力を発揮してもらう 配置を大事にしています
FAQ
Q. 「成人発達」とは、具体的にどういう考え方ですか?
A. 人は大人になってからも発達し続ける、という前提に立つ考え方です。能力や人格を「固定されたもの」ではなく「発達の途中」として捉えます。これに立つと、若手の「今できないこと」も、伸びしろとして見られるようになります。
Q. 発達を待つというのは、ただ甘やかすことになりませんか?
A. 甘やかしとは違うと考えています。責任を持って仕事はしてもらいます。ただ、その人の特性がすぐには変わらないことも認めたうえで、力を発揮できる場所を用意する。待つことと、求めることは両立します。
Q. 小さな病院でも、同じことはできますか?
A. 正直、人数が少ないほど難しい面はあります。発達を待つには、ある程度の余白が要るからです。ただ、院長自身が「人は発達する」という前提を持っているかどうかで、若手への向き合い方は大きく変わると思っています。
澤村 昌樹 — 沢村獣医科病院 院長
