要点
- いま、獣医業界の就活市場に、外部から 多額の資金 が入ってきています
- 説明会に人は集まる。でも中身が伴わず、学生と病院のニーズがミスマッチ している
- 外部の短期的な成功事例に流されるより、業界の内側から組織と文化を高める ほうが根本的だと考えています
- 成長した組織には、そこに入りたい学生が 自然と集まる
- Teal Vet Lab は、その中核。単なる勉強会ではなく、日本の動物医療をより良くするムーブメント です
- 一つの病院が変われば地域が変わる。多くの病院が変われば、日本の動物医療はもっと良くなる
1. いま、業界の就活市場で起きていること
最近、強い問題意識を持っていることがあります。獣医業界の就職活動に、外部から多額のお金が入ってきている、ということです。
たとえば介護業界のように、別の業界で就活ビジネスを大きく成功させたところが、資金を集めて、今度は獣医業界に入ってきている。それをそのまま獣医業界にやられてしまうと、どうなのかな、という気持ちがあるんです。
獣医業界は、介護業界と違って歴史があり、きちんとした団体もある業界です。それなのに、外から来た手法で場が荒らされていくような感覚がある。「急に吹いた風邪に、みんながなびいている」ような気がしていて。本来、動物病院というのは基盤があって、その中で人が育っていくべきなのに、と思うんです。
2. 「人は集まる、でも中身がない」
先日の岐阜の就職説明会も、そうでした。説明会に人は集まる。でも、実際には中身が伴っていない。だから、ついてこない。要は、ミスマッチが起きているんです。
学生側からすれば、全国の動物病院の先生と知り合えて、話を聞けて、交通費までもらえる。すごくいい機会です。一方で、私たち病院側は、真剣にいい人を集めたい、いい人材を求めたい、というのがメインです。この温度差が、すごく大きい。
短いスパンで一気に何かをするには良かったのかもしれない。でも、中身が育っていないから、結局それが一番、コストパフォーマンスの悪さとして返ってくる。私はそう感じています。
3. 私の答え — 内側から、業界を強くする
では、どうするか。私の答えは、私たち業界側が、組織や文化、各病院のあり方を高めていくこと のほうが、ずっと重要だ、ということです。
こちら側が成長する。すると、その成長した組織に入りたい学生が入ってくる。外から仕組みを持ち込むのではなく、業界自体が内側から変わっていけばいい。問題は、それをどうやったらいいか、です。
そこで考えているのが、階層構造です。Teal Vet Lab を一番上に置き、その下に「いつでも話せるアプリ」を置く。この形で進められたら、差別化としても、外から来たプレイヤーとはかぶらないと思っています。実績を作っていけば、いずれ向こうから「一緒にやりませんか」と言ってくる。そういう1年にしたいと思っています。
4. Teal Vet Lab とは
ここからは、私が Teal Vet Lab に込めている想いを、そのまま書きます。
ここまで真剣に、動物病院の未来について語り合ったことがありますか。
動物病院が変わるのは、新しい設備や制度が導入されたときではありません。そこで働く一人ひとりが学び、成長し、互いを尊重し合える文化が育ったときです。
その文化は、人を育てます。人が育つことで、働く人の幸福度が高まり、離職率は下がり、生産性は向上します。そしてその先には、より良い獣医療と、動物・飼い主へのより大きな価値があります。
Teal Vet Lab は、院長だけの場ではありません。勤務獣医師、愛玩動物看護師、学生——動物医療に関わるすべての人が、ともに学び、ともに考え、ともに成長するコミュニティです。
5. ミッション・ビジョン・パーパス
言葉にすると、こうなります。
- ミッション:人と組織の成長を通じて、動物病院の未来をより良くする
- ビジョン:すべての動物病院が、人が育ち、幸せに働き、最高の獣医療を提供できる社会を実現する
- パーパス(存在意義):医療技術やマーケティングだけでは実現できない「人」と「組織」の力で、動物病院の可能性を広げる
一言でいえば、「動物病院の組織文化を進化させるコミュニティ」 です。
活動としては、年4回の Teal Vet Lab 開催を考えています。組織・リーダーシップ・文化・幸福度・自律性といったテーマを学び、各病院の実践事例を共有し、参加者同士が継続的につながって、実践を振り返っていく。医療技術やマーケティングではなく、「人が育つ組織」「挑戦できる文化」を、理論と事例の両面から扱う場にしたいと思っています。
6. これは、ムーブメントです
私は、これを単なる勉強会にはしたくありません。「日本の動物医療をより良くするムーブメント」 という位置づけを、はっきり打ち出したいと思っています。
一つの動物病院が変われば、その地域が変わる。多くの動物病院が変われば、日本の動物医療はもっと良くなる。私たちは、その変化を本気で創っていきます。
このブログも、その入り口の一つです。ここで書いていることに少しでも共感していただけたら、ぜひ Teal Vet Lab に加わってください。一緒に、業界の基盤を内側から強くしていきましょう。
まとめ
- 獣医業界の就活市場に、外部から多額の資金が入り、人は集まるが中身が伴わないミスマッチ が起きている
- 外の手法に流されるより、業界の内側から組織と文化を高める ほうが根本的
- 成長した組織には、入りたい学生が自然と集まる
- Teal Vet Lab を中核に、その下にアプリを置く階層で差別化する
- ミッションは「人と組織の成長を通じて、動物病院の未来をより良くする」
- これは勉強会ではなく、日本の動物医療をより良くするムーブメント
FAQ
Q. Teal Vet Lab は、誰が参加できるのですか?
A. 院長だけの場ではありません。勤務獣医師、愛玩動物看護師、そして学生まで、動物医療に関わるすべての人を対象に考えています。立場を超えて、ともに学び、考え、成長するコミュニティにしたいと思っています。
Q. 外部の就活サービスを否定しているのですか?
A. 否定というより、順番の話だと思っています。外の仕組みを入れる前に、まず業界の内側で組織と文化を育てる。成長した組織に学生が集まる状態を先につくる。その基盤ができれば、外のプレイヤーとも対等に、むしろ向こうから一緒にやろうと言ってもらえる関係になれると考えています。
Q. なぜ「医療技術やマーケティングではない」と言い切るのですか?
A. 技術やマーケティングを軽視しているわけではありません。ただ、それだけでは動物病院の可能性は広がりきらない、というのが私の実感です。最後にものを言うのは「人」と「組織」の力。そこにしか手が届かない領域があるからこそ、Teal Vet Lab で「人」と「組織」をテーマに据えています。
澤村 昌樹 — 沢村獣医科病院 院長
